なぜ、洋画や海外文学に登場するヒロインは「~よ」「~だわ」「~かしら」と、やけに女を強調した話し方なのか……。こんな疑問を感じている人は、きっと多いはずだ。日常生活のなかで「きょうは私、お昼はお弁当なの。早起きでつらかったわ」だとか「どうして男って自分勝手なのかしら。ホントいやよ!」などと話す人はいない。もしもいたら、ちょっとコワイくらいだ。 この大いなる謎の真相に迫っているのが、先月発売された『翻訳がつくる日本語 ヒロインは「女ことば」を話し続ける』(中村桃子/白澤社)。本書によれば、女ことばの文末詞「だわ、だわね」や、女の疑問表現とされている「かしら(ね)、わね、わよね、のよね」は、研究調査で実際にはほとんど使われていないことがわかっている。20代では「ほぼ消滅」状態にあるそう。いわば、現代において“典型的な女ことば”を話しているのは、翻訳された“日本人じゃない女性たち”となる。 では