「木札もあったので、信じていたが...」。2年前、福島市飯坂町の、あるモモ生産者に届けられた「皇室献上桃生産地」の木札。「この上ない名誉」と地元の農家仲間も喜んでいたが、ここにきて落胆を広げる結果となっている。いったい何が起きているのか―。 看板のような木札を生産者の男性に届けたのは、「宮内庁関係者」を名乗る男性(東京都在住)だ。農業用補助剤などを扱う会社の社長と一緒に約3年前から訪れるようになり、「皇室に献上するモモを選定している」と「試験献上」を持ちかけたという。 記者も2年前、この男性を取材した経験がある。名刺の肩書はある研究所の所長で、「東大の客員教授だ」と話した。「皇室献上が正式に決まったのなら、文書や発表があるはずだ」と聞くと「それはない。これがその代わりだ」と木札を見せた。後に「皇室献上モモの経緯」という文書も示し、そこに「(男性が)宮内庁大膳課の依頼を受け高品質モモ産地の選