・〈身売り〉の日本史: 人身売買から年季奉公へ 人間が人間を保有する、売り買いするとはどういうことかを日本の歴史(主に中世以降)にみる本。 日本には中世からつい最近(2005年)まで人身売買罪というものがなかったそうだ。人が人を所有し、売りとばすことは長い間リーガルだったのだ。中世では、飢饉になったとき、飢えて苦しむものがいたら余裕のあるものが買い取って使用人として使うことを認めていた。人道的な理由で奴隷を認めていたわけだ。 「厄介者」という言葉もそうした慣習からでたものらしい。 「子どもだけでなく、一家全員で親類や縁者の家に転がり込むという方法もあった。厄介とも呼ばれる。食べさせてもらい住まわしてもわう代わりに、一家総出で厄介先の仕事を手伝うことになる。「親類境界」の養助というのがこの厄介に相当する。ただし、地のつながった血縁親族、あるいは厄介先で主の家族として扱われるのではなく、主の指