7月10日に行われた参院選は、与党側の圧勝に終わった。 選挙の勝因・敗因にはさまざま要因があろうが、筆者は、野党、特に最大野党である民進党が「アベノミクスの争点化」に下手な形で乗ってしまったことにあると考える。 野党は「アベノミクスの失敗を認めよ」と迫った。アベノミクスは、富裕層の一部を株高などで潤しただけで、勤労者の賃金が上がらず、格差を拡大させたという。 確かに、アベノミクスは、当初掲げたインフレ目標をいまだ達成しておらず、順調であるとはいえない面がある。加えて、海外経済に懸念要因が続いた不運もあった。 しかし、物価もいくらかは改善が見られ、失業率は大幅に低下し、アルバイトの時給が上昇するなど、一定の成果を上げている。一方、民主党政権時代は、円高とデフレが定着し、学生は就職難で、非正規労働者の時給が安く、いわゆるブラック企業のビジネスモデルが可能だった。今の方がましだというのが、多くの