この記事は、「日経ビジネス」Digital版に掲載している「日経ビジネスベーシック」からの転載です。連載コラムは「飯田泰之の『キーワードから学ぶエコノミクス』」。記事一覧はこちらをご覧ください。詳しい説明はこちら 。 経済学の基本原理は、「人々はインセンティブに基づいて行動している」というものです。 インセンティブ、というと偉そうですが、要は損得感情に基づいて動いているというわけです(「インセンティブ」そのものについては、日経ビジネスベーシックの連載から、こちらをご参照ください)。 このように書くと、「ああ、やっぱり経済学は金銭的な損得だけを考える、非人間的な学問なんだね」と思われてしまうかもしれませんが、それは誤解です。損得勘定は、お金だけの話ではありません。 経済学においては、「損」も「得」も、個々の人が持っている“主観的な評価”で決まると考えます。当然そこには心理的、社会的な損得も含