このところ、財政支出の拡大を求めるさまざまな提案の是非をめぐって、活発な議論が行われている。今年の春から夏にかけてはMMT(現代貨幣理論・現代金融理論)が注目を集めたが、財政政策の役割を重視する考え方は、「正統派」とされる経済分析の枠組みにおいても広がりをみせている。もちろん、このような「財政赤字容認論」に対しては根強い批判もある。 残念なのは、財政赤字の容認や積極財政の是非を問うこのような議論が、ともすると極端な方向に流れがちなことだ。財政支出の拡大を懸念するあまり、いきなり「国債暴落」や「ハイパーインフレ」を持ち出すとなると、財政が破綻する前に議論のほうが発散してしまうことになるだろう。 そこで、本稿ではこれまでの財政運営をめぐる経過を振り返りつつ、財政赤字容認論はどこまで許容できるかについて論点整理を試みることとしたい。以下ではまず日本の財政状況について確認したうえで、財政赤字容認論
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