●『体育がきらい』 体育がきらい (ちくまプリマー新書) 作者:坂本拓弥 筑摩書房 Amazon 著者は大学で体育やスポーツを教えており、また「体育哲学」という研究を行なっているそうだ。本書で哲学っぽいことが書かれるのは終盤になってからだが、身体を通じて個々人が世界を経験したり知覚や認識をしたりすることを重視したり、「体が変わる」ことで「世界が変わる」と論じたり、あと全体的に「〜のために運動すべきだ」とか「〜な身体になったほうがいい」とかいった基準や規範に否定的で個々人の多様性や独自性を重視している感じなど、どことなく現象学を思い出させるような議論がなされている。 全体的には、日本独自の「体育」教育が発達した歴史的経緯や現在の教育現場における体育教育の状況が紹介されていたり、体育や運動とスポーツとの違いについて論じられたりしている。体育教育やスポーツ論に関する知識が得られるという点ではよい