地震、津波、原発事故…。東日本大震災が日本経済に及ぼした甚大な影響を、私たち日本人はどのように克服していけばいいのだろうか。世界の学術分野で活躍する学者や専門家たちに、日本復活に向けての提言を聞くのが、この新コラム「復興の経済学」。 第1回は、米プリンストン大学経済学部の清滝信宏教授。3月21日、ロンドンで話を聞いた。 この震災が金融市場を通じた世界経済に与える影響は限定的だと言うが、日本政府の対応次第で、中長期的に深刻な影響を与える懸念もあると指摘する。(聞き手はロンドン支局、大竹 剛) まず、このたびの東日本大震災で被害に遭われた方々に、心からお見舞い申し上げます。 今回の巨大地震による日本経済への影響は、物的な資本だけでなく、大勢の方が亡くなったり傷ついたり、人的被害の影響が大きい。また、地域社会を含む広い意味での社会資本、東京大学の宇沢弘文名誉教授がいう「社会共通資本」が失われた影