龍馬や晋作の動きが華麗すぎて、皆さん見落としがちかもしれないが、幕末というのはとても理不尽でアホな主張をしている時代だ。「尊皇攘夷!」と叫びながら、西洋の文化、特に技術はガンガン取り入れているのである。欲しいの?それとも追い出したいの?一体、どっちなんだよ。 そんな幕末にあって、薩摩藩の名君と言えば島津斉彬(なりあきら)である。もうみんなすっかり忘れていると思うけど、NHK大河ドラマ篤姫の養父である。別の名君、松平春嶽から「英明近世の第一人者」とべた褒めされるほど、海外情勢や科学技術、言語に通じていた。 ところが、薩摩藩の中では、彼が藩主になるのをいやがる勢力がいた。 「斉彬が殿様になったら、『社内英語公用語化』とかやっちゃうんじゃないか? ワシら、TOEIC300点しかないしのぅ」と英語のできない重役たちが、新橋のガード下で愚痴るように、薩摩藩の部下たちには新たな労力が課されることが明