そういう作業を読者に強いるわけですから、版面や字面でもそこはある程度示してやらなくてはならない。ブロックを漫画のコマと考えるなら、それぞれに時間の流れ方が違っているわけだし、同じブロックの中でも文節や文意で見せ方は変わっているべきです。それも一目でわかるようにしなきゃいけない。 本をパッと開いたとき、もちろん文章は読めていなくとも、版面は目に入っています。形として似ていれば、内容も類似していると脳は判断します。だから、たとえば同じことを別の形で説明しているパートは形(行数や、最終行の長さなど)を似せてやったりするわけですね。もちろん同じテクニックで読者を意識的に騙すこともできます。 見開きの中に、情報をどんな形でどのように配置するかはとても大事なことだと考えています。もちろん「見た目」としてはグラフィックデザインの領域なんでしょうが、小説の場合はむしろ意味や時間が重要視されるわけです。すべ