カチャ、カチャ、カチャ……。箸やスプーンが食器と触れる音が、静まりかえった教室に響く。食が細く、食べるのが遅い小学2年の女児にとって給食は恐怖の時間になった。 「とにかく前だけを見て、黙って食べましょう」。小学校入学時に、こう指導された。それまで通っていた保育園では給食時の静かなおしゃべりは許されていたが、小学校では「黙食」が徹底された。 新型コロナウイルスの感染者が国内で確認されてから来年1月で3年。母親の小野真帆さん(30)は、世の中全般の感染対策が緩和に向かうなかで、学校の黙食が続く現状に疑問を感じる。