2021年7月、福岡県内の保育園で、送迎バスに園児が置き去りにされ、熱中症で死亡する事故が起きた。同月には千葉県で、乗用車に放置された1歳児の死亡事故が起きている。 車内放置による悲痛な死亡事故は、毎夏のように報道されるにもかかわらず、具体的な予防策は見出されていない。このような事故が起きるたび、俎上に載せられるのはもっぱら「監督者の責任」である。 もちろん、子どもを保護・監督する立場の者に責任が帰せられるのは当然ではある。とはいえ、思わぬ過失によって子どもを死に至らしめてしまう悲劇を、責任の一言で済ませるのはあまりに救いがない。 過失による乳幼児の死亡を「責任問題」に回収していては、根本的な防止策は生まれない。事故の予防に確たる効果をもたらすのは、責任感という不確実な要素ではなく、技術や制度を通じた対策であるはずだ。 車内放置は「車両側のシステム」で防ぐ 車内放置に対する技術的な予防策と