最近、論文を書くために、先行論文に目を通している。一つ、大変すばらしい論文があって、唸った。論旨もはっきりしているし、展開もうなずける。これはいいや、と思って、さらに先行する論文を読んだら、先の論文とはまったく違う話になっている。 先に読んだ方は、文献史学の立場で書かれたものだった。同時代の文献を集めて、ある事象の変遷をたどっている。 後に読んだ方は、考古学の立場で書かれたものだ。先に読んだ論文が扱っている事象を、発掘調査の結果に基づいて、時代順に組み立てている。この論文はたいそう古いのだが、研究所の紀要論文なので、ひょっとすると後から書かれた文献史学の論文の筆者は、目を通してないのかもしれない、と思った。文献史学の立場で書かれたすごくよくできた論文なのだが、考古学的事実と齟齬する部分があるのは困るのだ。 考古学にしても、文献学にしても 残っているのはごく一部 ということを常に念頭に置かね
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