痛々しい治療跡を見せたまま、最後まで滑りきった羽生。フィギュア界だけでなく、他のスポーツジャンルからも、その強行出場と現場の医療態勢を巡って議論が巻き起こっている。 何という大会になったのか――。11月7日から上海で開催された中国杯は、誰も予想していなかった前代未聞の事態が起きた。 男子フリー最終グループの6分間ウォームアップの最中に、羽生結弦が中国のエン・カンとフルスピードで激突するというアクシデントが起きたのだ。 氷上に倒れた2人のうち、カンが先に自力で起き上がった。羽生はしばらく苦しそうに激しく呼吸をしている様子が見てとれたが、ようやく到着した救急班に支えられて身を起こした。こめかみとあごの傷から流れた血が首をぬらすという悲惨な姿だったが、自力で氷から上がった。よほどの痛みだったに違いない。顔はすっかり青ざめ、目もうつろになっていた。 本人の強い意志で競技決行。 まさかこのアクシデン