差別はなぜなくならないのか 黒人暴動にみる差別の重層構造と深層心理 下條信輔 認知神経科学者、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授 米国で大規模な黒人暴動が繰り返されている。グローバル化、多言語化が進む日本にとっても他人事ではない。 メリーランド州ボルティモアで今年4月、黒人青年が警官に取り押さえられる際に暴行を受けて死亡し、その葬儀のあと群衆が暴徒化した。米政府はボルティモアで非常事態を宣言し、州兵を投入。市内には夜間外出禁止令も出た。 昨年11月にもミズーリ州ファーガソンで、白人警官による黒人少年射殺事件が起きた。大陪審の警官不起訴決定を受けて暴動が発生し、この時も州兵が出動。2夜連続して放火や商店の襲撃が相次ぎ、2日目だけで44人の逮捕者を出した。 さらに遡れば、ロサンゼルス(LA)大暴動(1992年4月末〜)を忘れることはできない(以下ウィキペディア他)。複数の人種間事件を引