□グルジア問題の背景(上) ■「民族独裁」の流れに先鞭 ロシア語に「エトノクラツィア」という言葉がある。1つの民族が、自らが居住する領域の政治、経済、言語、宗教、文化などすべてを独占しようという動きである。とりあえず「民族独裁主義」という日本語訳を充てておく。現在、グルジアとロシアで本格的な戦闘が始まっている。その原因は、2つある。第1は、グルジア人とオセチア人が「民族独裁主義」という衝動にとりつかれていることだ。第2は、ロシアが帝国主義的本性を露骨にあらわし、ロシアにとって裏庭であるグルジアを影響下に置こうとしていることだ。8月9日、メドベージェフ露大統領は、「ロシア国家は、コーカサスにおけるロシア国民の死が懲罰されないような事態を看過しない」(8月9日露国防省機関紙「赤星」電子版)と述べた。メドベージェフもプーチン前大統領(現首相)と同様の帝国主義的世界観をもっていることが明ら