媒体:中央公論2006年10月号 著者:福井健策(弁護士・ニューヨーク州弁護士) 廉価版DVDよりもっと大きな戦いが進行している 著作権の保護期間が脚光を浴びている。きっかけになったのは、オードリー・ヘップバーンの名作「ローマの休日」などの廉価版DVDの販売が許されるか、裁判で争われた事件。去る七月一一日、東京地裁は「ローマの休日」の著作権の保護期間は切れているので、DVDの販売は誰でも自由にできるという決定を下した(上級審で係争中)。 映画・音楽・小説などの著作権には法律で決められた期間がある。保護期間中は権利者の許可なく、作品をDVD化したりその他勝手に利用はできない。他方、期間が終われば原則として誰でも自由に作品を利用できる。これを「パブリックドメイン」という。昨年、「星の王子さま」(原題:Le Petite Prince)の保護期間が切れたことをきっかけに、出版界が新訳刊行ラッシュ