国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に中国が申請していた旧日本軍による南京事件に関する資料11点が登録された。同時に申請された「従軍慰安婦」に関する資料の登録は却下された。これは日本にとっては、かなり大きな外交的失点であるし、中国の国連外交の底力を見せつけられた、といっていいだろう。今後の日中関係にも大いに影響すると思われるので、今回は中国側の立場と思惑を中心に、このテーマに日本はどう対処していけばよいのか、を考えてみたい。 新華社「中国の申請が成功」 中国国営新華社通信はこう報じている。 「中国の申請が成功し、"南京大虐殺公文書(中国語で档案)"が正式に国連世界記憶遺産に登録された。現地時間の9日夜、パリのユネスコ本部が2015年の世界記憶遺産登録リストを公表し、新たに登録された47項目の中に"南京大虐殺公文書"の名前があった。同時に日本軍の強制慰安婦関連資料は残念ながら落選し