JINSEI STORIES 滞仏日記「天罰が下った夜、ブルース・ウイルスに救われる」 Posted on 2020/07/25 辻 仁成 作家 パリ 某月某日、息子に対する怒りはおさまることがなかった。なので、朝から口もきかない。昼ごはん前に、キッチンで料理をしていると息子がやってきた。もちろん、言葉などかけない。向こうも黙ってるのに、こちらからかけていては示しがつかない。すると、背後に息子の気配。ふりかえると、「ちょっといい」と洗濯機を指さして言った。どうやら、洗濯をしていたようだ。場所を譲ると、全自動洗濯機の扉をあけて、洗濯ものをとりだしながら、「今日はなに」と聞いてきたので、「知らない」と言ってやった。だいたい、「今日はなに」という聞き方がいかに無礼な訊き方か分かってない。せめて、「昼食は何ですか」と訊くべきだ。今まで、バカ丁寧に応えていた自分の責任を反省した。スパゲッティを作った
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