“Strong Inference”について 日本生理学雑誌61巻6号, p.233-244(1999)より改変引用 まえがき 私事ではあるが、京都大学の大学院に在学中に、当時教授として帰国されたばかりの久野宗先生から最初に読むように勧められた論文が、ここに紹介するJohn R Plattの”Strong Inference”だった。私がそのころの自分の研究に対して漠然と感じていた不満が何に起因するのかを、彼の思想は明瞭に示してくれたように思う。そのとき以来、私の思考は画然と整理され、自信を持って、自分のアイデアを研究に実現していくことができるようになった。ゆえに、研究を始めたばかりの人や研究を志す人の一助にもなればと、本論文の拙訳をお目にかけた次第である。訳するにつれて、この論文が書かれたのが35年前であるにもかかわらず、少しも古さを感じさせないことに、驚きもし、かつ残念に思うところがあ