小名浜の本町通りで54年にわたって営業を続け、地区民に「街の本屋さん」として親しまれてきた柏屋書店(長瀬益造さん経営)が31日で店を閉めた。経営者の高齢化と後継者不足、が主な理由だが、その陰には「思うように本が仕入れられなくなり、お客さんの要望に応えられなくなった」というジレンマも。10数年前には40軒近くあったのが、10軒にまで減ってしまった街の本屋さん、その現状をルポする。 「一番つらいのは何が売れますか? って聞かれることだね。何しろ売れないんだから。しかも売れ筋のベストセラー本なんて、ほとんど入ってこない。本ていうのは欲しくて探してる時にないとだめなんだよ」 長瀬さんが、お手上げ、といった表情で話してくれた。 73歳。髪に白いものが目立つ。平成に入ってから体調を崩し、手術を7回受けた。それでも、商売だけは続けてきたが、ここにきて売り上げダウンが目立つようになり、閉店を決意したのだと