構造改革先送りは禁物 一時的でいずれ元に戻る変化と、構造的でもう元には戻らない変化とを、混同してはならない。 関心のない方には恐縮だが、プロ野球を例に引く。巨人軍が勝てなくなったのは、イチローやマー君といった国内他チームの最優秀選手が、巨人ではなく大リーグに向かう時代となったからだ。この変化は不可逆なので、自前の選手育成能力を高めなければならないのだが、「常勝軍団」の看板が邪魔をする。若手を辛抱強く起用していては「常勝」できないのだ。本当は看板を「常勝」から「相対的最強」に掛け替える構造改革が必要なのだが、「常勝」の伝統死守を求める時代錯誤の一部上層部やオールドファンが障害となって進まず、現場は疲弊するばかりである。 日本経済もよく似た状況に直面している。20年以上続く「デフレ」は、一時的な「不景気」ではなく人口成熟に由来する構造問題であり、短期で効果の出る対処策はない。「異次元の金融緩和