日本学術会議の会員に推薦された105名のうち6名が、菅義偉首相によって、前例のない形で任命を拒否され、しかも拒否した理由を首相も官房長官も明らかにしないことから、この任命拒否は政府による学問の自由への恣意的な介入であり、侵害であるという抗議と、このままでは隠蔽主義的で対話を欠いた強権的な統治が学問や文化にたいして行われることになるのではないかという懸念が強まっている。 現時点(2020年10月7日)での政府の見解において、任命拒否の根拠とされているのは、内閣府が2018年に作成した文書である。そこには、「首相が、会員の任命について国民及び国会に対して責任を負えるものでなければならない」と記されており、それを理由のひとつに挙げつつ、「首相に推薦の通りに任命する義務があるとはいえない」という結論が示されている。しかしながら、今回の拒否にあたって、首相が国民にたいしていかなる理由で任命の責任を負