【ワシントン=勝田敏彦】脳に人工の「記憶」を書き込んだところ、経験していない、その記憶をもとに行動するようになった。オックスフォード大など英米の研究チームが、そんな試みに成功し、米科学誌セル(電子版)に発表した。もっとも、人間ではなくショウジョウバエでの話だ。 ショウジョウバエに、ある種のにおいと同時に電気ショックを与える「訓練」を繰り返すと、その記憶をもとに、同じにおいを避けて動くようになる。研究チームは、そうした仕組みを担うショウジョウバエの脳の組織が12個の神経細胞(ニューロン)でできていることを突きとめた。 光を当てる特別な方法で、訓練を受けていないハエの神経細胞を活性化させて「人工記憶」を書き込んだところ、ハエは危険を体験していないのに、そのにおいを避けるようになった。 人間に応用できるかとなると、ヒトの脳は複雑なので、ハエ限定の話という。