40をすぎた子持ちの男が、少女漫画を読むためには、作品世界全体を客観的に眺めては絶対にいけないのだ、ということにようやく気づけるようになった。 「ちょwww犯人が証拠残るような写メ送るなwww」 「なんでほとんど知らない男の下宿にいきなり女子中学生があがりこんでるのwwwwww」 「雪ですべって冬の川に転落とかwwwwww」 心眼の焦点を作品の外枠全体に合わせてしまうと、もういけない。笑いしかこみ上げてこなくなる。 少女漫画を読む際に大事なことは、主人公の女の子の心象に、ぎゅうううっっっっと焦点を絞り込むことである。少女をとりまく世界というものは、少女の心的世界に張り付いている、薄い膜のようなものでしかない。焦点をぼかしたり合わせたりズラしたりしているうちに、突如3Dの絵が見えるようになるのに似ていて、少女の心の中を中心にした世界像がだしぬけに形をあらわしはじめることがある。 山田デイジー