著者: 大塚淑子 熊本中の人が集まっているんじゃないかと思ってしまうほど、週末になると人が溢れる街。新型コロナの影響で人々がごっそりいなくなってしまった昨年の春から、時間とともにようやくにぎわいを取り戻してきた。 ここで「街」と呼んでいる場所は、いわゆる熊本市の中心市街地のこと。下通アーケード、上通アーケードを中心とした繁華街を通称・街と呼んでいて、熊本県民によってもその範囲が違うことはよくある。携帯がない時代でも、集合場所が街であれば、郷土のデパート『鶴屋』か、今はなきPARCOの前にいればだいたい落ち合えただろう。 そんな街を愛して、18年が経とうとしている。 18歳、眩しい世界、狭い世界大学進学を機に、福岡の田舎町から熊本に移り住んだのは18歳の春。 はちゃめちゃに厳しい家で育ったわたしにとって、家を出ることは幼少期からの使命のようなものだったし、なにより兄姉がそうしてきたから自然な