退任後も愛妻バーバラ(今年4月に死去)と共に国民に親しまれた Diana Walker-Time Life Pictures/GETTY IMAGES <外交・内政の実質的な成果が過小評価されているが、公正で寛大な良き保守派を代表する指導者だった> それは象徴的な光景だった。12月5日に首都ワシントンで行われた第41代米大統領ジョージ・ブッシュの国葬でのこと。88年の大統領選で共和党の指名候補の座をめぐりブッシュと熾烈な戦いを繰り広げたボブ・ドール元上院議員は車椅子でかつてのライバルの棺の前に進み出ると、付添人に支えられてよろよろと立ち上がり、棺をじっと見据えて敬礼を送った。 そのしぐさがアメリカ人の総意を代弁していた。「彼は実にいい奴だった」。そんな思いだ。 11月30日に94歳で亡くなったブッシュはおそらくアメリカ史上最も過小評価された大統領だろう。死後時間がたつにつれ、その評価は上が