神道と仏教は違う宗教だ。だが江戸時代まで2つの宗教は混じり合っていた。その証拠がいまも琵琶湖の小島に残っている。現地を訪ねたジャーナリストで僧侶の鵜飼秀徳氏は「別々の宗教が仲良く併存してきた国はめずらしい。それは日本人の誇るべき点ではないか」という――。 琵琶湖に日本の宗教史上の重要な「聖域」がある 滋賀県に竹生(ちくぶ)島という離島がある。 勘のいい人ならば、「滋賀県は海に面していないのでは」と頭を傾げるかもしれない。その実、竹生島は琵琶湖の北部に浮かぶ周囲2kmほどの小島である。ちなみに東京・上野の不忍池(しのばずのいけ)の弁天島は、琵琶湖の竹生島を模して、江戸時代に造成されたものだ。 竹生島は、日本の宗教史を語るうえで、とても重要な聖域である。平安時代から江戸期まで続いた神仏習合の古態を今に残しているからだ。 日本の社寺は明治初期、神仏分離政策によって存続の危機に見舞われた。つまり、