<「脱亜論の提唱者で、日本を東アジア文化の(悪)循環から救った」と評され、中国の知識層に注目される福沢諭吉。本誌「世界が尊敬する日本人100」特集より> あなたが最も尊敬する日本人は誰ですか」と、知識人の多い中華圏のツイッターユーザーを対象に筆者がアンケート調査してみると、1位は福沢諭吉。 「日本国民を啓蒙した」「大学を設立し、先進的な思想と文化を広めた」などのコメントの中で、際立っていたのは「脱亜論の提唱者で、日本を東アジア文化の(悪)循環から救った」という理由だ。 「東アジア文化」とは儒教文化のこと。古代中国に始まる儒教文化は、特に日本や韓国など漢字文化圏の東アジアの国に深い影響を与えてきた。福沢はこの儒教の教えが日本の近代化を妨げると考えた。 例えば儒教の「公」は、現代の「公民社会」の「公」ではなく、支配者あるいは政府を指す。政府と人民の間には垂直的、身分制的、階層的な関係があり、そ