ロシアのウクライナ侵攻が始まり、間もなくで1年が経つ。世界がロシアの残虐性に非難の目を向ける中、善戦するウクライナ軍に驚きの声もあがっている。一方で、名古屋商科大学ビジネススクール教授の原田泰氏は、そもそも民主主義の国は決して"戦争に弱くない"と語る。その根拠について、民主主義と権威主義の対立の歴史を遡りながら解説する。 ※本稿は、原田泰著『プーチンの失敗と民主主義国の強さ』(PHP新書)を一部抜粋・編集したものです。 アテネ民主派の攻撃に負けた寡頭政治派とスパルタ駐屯軍 ロシアのウクライナ侵攻に際して、そもそも民主主義は自らを守る力があるのかと問う声があったようだが、ウクライナは負けていない。国境の外にロシアを追い払う可能性も見えてきた。民主主義国は戦争に弱い、と一般に思われているが、必ずしも弱くはない。 自由に放任しておけば兵士たちが戦うはずはない、というペルシャの王クセルクセスに対し