火付け役となった「港屋」 日本そばと言えば、冷水でキリッと冷えた細い蕎麦を、鰹出汁の香る濃いめの汁にサッと付けて、勢いよくズズッと啜る……落語の時そばではないが、そのようなざるそばをイメージされる方は多いのではないだろうか。 日本酒を飲んだ後に少ない蕎麦で〆るような、こだわりの手打ちそば店は高級路線が多い反面、立ち食いそばは未だ低価格帯が主流とあって、蕎麦界は2つに大分されている印象を覚える。 しかし2000年以降、そこに第三極ともなりうる勢力が台頭してきた。日本一行列のできる立ち食いそば店と言われた「港屋」を起因とする太麺ガッツリ系蕎麦店だ。 港屋は東京虎ノ門に2002年7月開業。決して広いとは言えない店舗で、立ち食いスタイルというのは既存店と変わらなかったが、看板がなく小さな表札のみで一見して飲食店とは分からない佇まいに、ラー油の入った汁に硬い太麺をつけて食べるつけ麺スタイルでボリュー