菅内閣が誕生したことで、安倍政権の経済政策であるアベノミクスは一つの区切りを迎えた。アベノミクスによって日本経済は力強く成長したと言われているが、多くの国民はむしろ生活が苦しくなったと感じているはずだ。経済が成長しているのに、生活が苦しくなるというのは大きな矛盾だが、なぜこのような状況になってしまったのだろうか。このメカニズムが分かれば、次期政権の課題も明らかとなるだろう。 経済成長率はプラス、しかし…… アベノミクスの期間中における日本経済の平均GDP(国内総生産)成長率は実質で0.9%だった(四半期ごとのGDPを基準に年率換算したもの)。当初、安倍氏は実質で2%程度の成長を実現すると明言していたので、現実にはその半分だったが、プラス成長していたのは事実である。 政権はプラス成長が続いたことを理由に、景気拡大は戦後最長に匹敵する長さだったと成果を強調している。それにもかかわらず、国民の生