ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/joyce (7)

  • セレブがこぞって応援するサッカーチームって?

    今のイギリスで、ちょっと気になる偶然の一致がある。イギリスの首相であるデービッド・キャメロンと王位継承順位第2位のウィリアム王子が、同じサッカーチームを応援しているのだ。 さらに奇妙なのは、そのチームがアストン・ヴィラであること。サッカーファンは通常、地元のチームか、少なくとも自分が育った地域のチームを応援する。ところがキャメロンもウィリアム王子も、ヴィラの拠地であるバーミンガム生まれでもなければバーミンガム育ちでもない。 僕は以前にもある有名人が応援しているチームを知って、なぜこのチームなんだと不思議でたまらなかったことがあるが、それもまたヴィラだった。イギリスで最も有名なクラシック奏者の一人でバイオリニストのナイジェル・ケネディだ。トークショーやラジオのインタビューで、彼はいつもビバルディを語るかのようにヴィラについて語る。 ケネディはバーミンガム出身ではないし、明らかなロンドンっ子

    セレブがこぞって応援するサッカーチームって?
  • 今どきの大学生が背負う借金地獄

    多分、僕たち世代とイギリスの若い世代との最大の違いは、今の若者たちが膨大な借金を背負ってキャリアをスタートするという点だろう。僕はそれがすごく気になるし、若者がなぜもっと怒りの声を挙げないのかも、僕たちの世代がなぜ罪悪感を覚えないのかも、理解できない。 僕が大学に通っていた89~92年の間、学費は全て税金から支払われた。僕はオックスフォード大学で、授業料を1ポンドも払っていない。実際、僕の家は裕福ではなかったので、生活費の足しにと年間約2000ポンドの助成金まで受け取っていた。 信じられないかもしれないが、生活費はこれで十分まかなえた。カレッジの3年間のうち2年はキャンパス内の寮で暮らしたし、格安の学生堂やバーもあった(ビールは1パイント1ポンド以下だった)。それに素晴らしい図書館があったから、僕たちはを自分で買う必要もなかった。 大学には学生の研究旅行のための基金まであった。僕は2年

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  • 移民問題が「タブー」でなくなったわけ

    ここ数年、僕たちイギリスの国民は、一部の政治家からこんな寛大な言葉を聞かされてきた。移民について懸念するのは、決して人種差別なんかではないですよ――。 こんな「お許し」が出たのは、大きな変化だ。10年以上にわたり、多くのイギリス人が移民の大量流入に懸念をおぼえながらも、そんな心配を口にしようものなら非難されてきたのだから。僕の友人の1人も、大量の人々を外国から輸入するという事実上の「政策」をずばり批判したために、事あるごとに人種差別主義者だと非難されていた。 僕は、もっと慎重に発言するようにと彼をたしなめたこともあった。それに正直に言うと、数年前ならこのブログにこんなことを書くのすらためらわれただろう。 イギリス政治に関心のある人なら、2010年の総選挙でのあの出来事を覚えているかもしれない。当時のゴードン・ブラウン首相が遊説中、テレビカメラの前である熱心な労働党支持者の女性から移民問題に

    移民問題が「タブー」でなくなったわけ
  • イギリス流「W杯フィーバー」が来た

    イギリス人の並外れた特徴の1つは、普段あからさまな愛国心を見せることがない、という点だろう。僕は子供時代、イギリスはくだらない国だと思って育った。われわれイギリス人は何においてもダメだ――そんな空気を感じ取っていたからだ。 フランス人はもっとスタイリッシュだし、イタリア人はもっとサッカーがうまいし、ドイツ人の経済はもっと強力だし、日人はもっと物づくりに長けているし、アメリカ人はほぼ何でもイギリス人より優れている(イギリス人より太っていてひどいなまりがあるのを除けば)。 イギリス人が誇りに思うことがあるとすれば、あのおぞましいヒトラーを打ち負かして第2次世界大戦に勝利したことだ。でも皮肉なことに、厳密に言えばこれはイギリスの成果ではない。ナチスドイツを破る上でイギリスよりもはるかに、はるかに重要な役割を果たしたのはソ連とアメリカだ。 イギリス人は、国家としてのイギリスにあまり良いイメージを

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  • 郵政民営化で届かなくなった手紙

    僕はその月曜日を、不安と苛立ちが入り混じった気分で過ごした。金曜日に届くはずだった銀行からの重要な書類が、金曜日にも土曜日も届かなかったからだ。 週末の間はあえて、この件について考え過ぎないようにしていた。月曜に届けば間に合うから大丈夫......。でも、その郵便物は月曜日になっても配達されなかった。 こうなると、その先に待ち受けるまずい状況について考えざるを得ない。僕はまず、現状を確認するためにいくつか電話をかけた。書類にはある個人情報が含まれており、それが届かないと銀行口座の情報をリセットしなければならなくなる。その手続きには1週間ほどかかるうえに、パスワード変更も必要だ。そのうえ、僕は重要な支払い期限に間に合わないせいで、100ポンドの罰金を科せられてしまう......。 郵便が滞りなく届くという簡単な話がなぜ、これほどややこしい問題になってしまったのだろう。僕の人生の大半において、

    郵政民営化で届かなくなった手紙
  • 今年は「スコットランド独立」の年になる?

    大学で歴史を学んでいた頃、僕は時々、当時の人々は歴史を「どんな風に感じていたのか」知りたいと思った。自分たちがどんな時代に生きているのか、どの程度まで分かっていたのか。ある結果をもたらしたと歴史家が考える一連の出来事について、どの程度まで認識していたのか――。 僕は今、2014年は戦後イギリス史の中で最も重要な年になるかもしれないと考えている。スコットランドでは9月に、イギリスから独立して新国家をつくるかどうかを問う住民投票が行われる。イギリスの人々は投票のことを知っているが、現時点ではわずかに認識しているくらいだ。その重要性をほとんど理解していない。 イングランドではほとんどの人が、独立の是非はスコットランド人が決めるのだから、自分たちがあれこれ考えてもあまり意味がないと思っているようだ。スコットランド人がいなくるのは素晴らしいことだ、彼らは税金を納める以上に国家予算を使っているのだから

  • イギリス生まれのスポーツが意外に多い理由

    昨年のロンドン・オリンピックの前、あるドイツ人骨董商と興味深い話をした。彼はスポーツ関係の記念品やグッズを専門的に扱っていて、オックスフォードシャー州に店を持っていた。どんな偶然から彼はイギリスの田舎に住むことになったのだろう、と僕は思ったが、人が言うには、仕事にぴったりの場所だったからという理由らしい。 世界で最も人気があるスポーツ、フットボール(サッカー)の誕生においてイギリスが重要な役割を果たしたことは僕も知っていた(1863年、ロンドンのパブで行われた会合でフットボールの統一ルールが作られた。今年で150周年だ)。「ワールドカップ」があるもう一つの球技ラグビーをイギリス人が考案したことも知っている。僕自身は関心はないが、野球より人気があるクリケット(世界有数の人口大国インドとパキスタンで人気が高いという点からだけでも間違いない)もイギリス人が考え出した。 ところがドイツ人骨董商の

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