──逃亡生活の詳細が明らかになるにつれ、同世代から共感と反発の声があがっている。 市橋達也は、アラサー世代のどんな想いを投影されているのだろうか。── まだ闇も深い午前4時。日雇い労働者が集う「あいりん地区」(大阪市西成区)には、排水溝が詰まったような臭気が漂っていた。「賭博禁止」「麻薬撲滅」といった張り紙が目につく。 どこからともなく大きなバッグを肩からかけた労働者が集まり始める。50歳過ぎだろう年配が多い。痩せている。会話は、ない。 人だかりにワゴン車が横付けされる。不機嫌そうな運転手がワゴンの扉を開くと、無言で乗り込む。待遇や職種、行き先を尋ねる者はいない。満員になったワゴンが出発するのを見計らったように、次々と車がやってきては労働者を乗せていく。人がベルトコンベヤーに乗せられていくようだった。 ■容貌と逃亡生活で 「兄ちゃん、来なよ」 運転手に手招きされた。 賃金は午前7