少年漫画における戦闘能力の強弱の表現は難しい。登場キャラクターが多くなれば、それはより困難になる。戦闘力の数値化や組織内での階級を利用した格付けなどが流行るのも仕方のないことだ。強さを比較するにはものさしが要る。だが、ことあるごとにものさしを出していたのでは話が冗長になる。そんな中で『カッコいいことを言った方が勝つ』というのは現実的でないにもかかわらず、非常に説得力がある。現実の試合には(稀であるにしろ)ラッキーパンチによる勝利というのが存在しうるが、フィクションでそれをやってしまうと「リアリティがない」とのそしりを受けることとなる。リアルとリアリティは違うのだ。 では何故、カッコいいことを言った方が勝つのか。それは読者がカッコいいことを言った方に感情移入するからだ。そして読者はお客様なわけなので、当然のこととして彼等が支持する方が勝利する。わかりやすい味付けが施されやすい少年漫画において