突然、机を「バン!」とたたいて、こう言った 「それが、天才ではない僕らの戦い方だ!」 突然、富野由悠季監督が強い口調でこう言ったので、私は耳を疑いました。 なにが起きたのか。会議が終わって、スタッフ同士が仕事の進め方について雑談をしていました。それは以下のAとB、どちらのスタイルが好みか、という話題でした。 A「目の前にあるひとつのプロジェクトに集中したい」 B「複数のプロジェクトを掛け持ちで進めたい」 スタッフの1人が「自分はAでひとつだけに集中したい。富野監督の仕事だけをしていたい」と発言したところ、それまで黙ってみんなの話を聞いていた富野監督が、机を「バン!」とたたいて、こう言ったのです。 「僕らはいろんな仕事をするべきなの。それでそれぞれの仕事の現場で得た小さな気づきを集めて束ねて太い軸として、次の仕事につなげるの。それが、天才ではない僕らの戦い方だ!」 部屋には西日が差し込み、生