大ヒット中の『うんこ漢字ドリル』。しかし中学受験講師で国語を指導する矢野耕平氏によれば、同書には残念な欠点があり「このドリルでは真の国語運用能力はつかない」という。なぜなのか――。そして、同書の効果的な活用法とは何か? 「うんこ」で子どもの心をつかみ、260万部 私が20代だったとき、塾講師の先輩にこんなことを言われた。 「男子小学生と仲良くなりたいんだったらさ、その合言葉は『うんこ』と『ち●こ』だぜ」 私は子どもたちを指導する立場であり、彼らとは一線を引いて接するべきだと考えている。だから、友達にならなくてもいいし、今後なるつもりもない。よって、先輩講師の助言を聞き流した。 そんな昔のことをふと思い出したのは、『うんこ漢字ドリル』(文響社)が累計販売260万部(6.16時点)を超える大ヒットだというニュースを耳にしたからだ。ドリル内の書き取り・読み取り問題の一例を挙げてみよう。 「何年も