ビルとビルのあいだに空き地があるとついつい足を止めてしまう。 草の生え具合からどれほどの年月が経っているのか推測し、ここにあったモノを想像し、町がどんな顔をしていたのだろうと考える。 誰かに尋ねてもいいのかも知れない。 けれど、想像は想像のままでいいと思う。 現実にはない何かを考えている時の方が面白いような気がする。 どうにも夢見がちなのは幼い頃から変わらないのだが、それでも頬をぺちぺち叩きながら現実と向き合う時間を定期的に作るようにしている。 答えを急ぎたくとも、急ぐ勇気が出ずだらだらと時を過ごしている私を私自身が叱らずして誰が叱ってくれるのか。 窓に打ちつける雨の音で起きた真夜中の3時。 息子は黙々と勉強していた。 娘は寝息を立てていた。 私は開いている窓がないか確認したあと寝ぼけながら布団に潜り込んだ。 気づいたら涙がこぼれていた。