大規模医療システムの導入プロジェクトが頓挫した場合におけるベンダ・ユーザの責任の所在・割合と損害の額等が問題となった事例。 事案の概要 医療法人Xは,電子カルテシステムを中核とする病院情報管理システム(本件システム)を導入することを企図し,入札を実施した。これに対し,ベンダのYは,平成20年10月1日付けで,パッケージをカスタマイズしてシステムを完成させるという提案をした。Xは,同月31日にYを落札者と決定し,平成21年9月24日までに検査を完了させることが合意された。 しかし,仕様の確定や,その後の追加要望について紛糾し,平成22年1月を過ぎてもYは,本件システムを引き渡すことができなかったため,Xは同月4月26日になって,債務不履行に基づく解除の意思表示をした。 そこで,Xは,Yに対し,債務不履行に基づく損害賠償として約19億円を請求したのに対し(第1事件),Yは,Xに対し,無効な解除