東京、銀座の片隅に、「1冊の本だけを売る」という一風変わった本屋がある。昭和初期のモダンなビルの1階にある、その店の名前は「森岡書店」。神保町の老舗古書店で修行を積み、その後、本屋とギャラリーを併設した書店を茅場町にオープン。そして、10年目にして、その拠点を銀座に移し、現在の営業形態をスタートさせたという店主、森岡督行の意図するところとは? さらに、そんな彼が新たな試みとして最近スタートさせた「森岡書店総合研究所」とは、どのような集まりなのか? 時代や価値の変化に鋭敏な森岡店主に、「ビールシフト」「カルチャーシフト」を考えるキリンとCINRAの共同企画で取材を行った。 自分や著者、そして編集者が、販売する本の世界の中にお客さんをお招きするというイメージでやっています。 ―まず改めて、森岡書店とは、どんな本屋なのでしょう? 森岡:基本的には「1冊の本を売る書店」というテーマで、ある1冊の本