そして泣く泣く引き返し、監督に退部を伝えた。オリンピック選手でもあった監督は理性的な方だったが、その時ばかりはあきれてものも言えない様子だった。 時はまだ3月。世間の高校生が憧れの大学生活を直前に過ごしている中で、僕は絶望のさなかにいた。 親の説得もあり、大学自体にはしぶしぶ残ることにした。しかし、スポーツ推薦で入学した大学に退部した人間が残るというのは非常に居づらい環境だった。「あいつは辞めた。挫折した。」というレッテルが貼られるからであった。 そしてこんなに親不孝な息子はいないだろう。自分が行きたいと言っておいて、一言も相談せずに辞めたのだから。自分自身も恥ずかしい思いをしたが、それは親も一緒だったはずだ。 親を含め、自分のしたことがいろんな人に迷惑をかけたという罪悪感は日に日に強くなっていった。お世話になった人には顔も合わせられなかったし、後ろめたい気持ちでいっぱいだった。 辞めてか