2019年12月5日のブックマーク (5件)

  • 【著者に訊け】伊藤亜紗氏 『記憶する体』

    【著者に訊け】伊藤亜紗氏/『記憶する体』/1800円+税/春秋社 誤解を恐れずに言えば、吃音に迫った話題作『どもる体』等で知られる美学者で東工大准教授・伊藤亜紗氏は、健常者と障害者、なにより自分と他人の体の違いに、興味津々なのだろう。 最新刊『記憶する体』はその違いを中でも決定づけ、〈固有性〉をもたらす記憶に焦点を当てたインタビュー集。第1話「メモをとる全盲の女性」に始まって、四肢切断、麻痺、二分脊椎症、吃音等、障害の程度や種類以前に過去も生き方も当然違う12通りの体の物語を、読者は読むことになる。 すると不思議。来その人のものでしかないはずの身体感覚が著者の名ガイドもあって肌身に実感され、無意識に動くこちらの体の方が奇妙に思えてくるのだ。そう。私たちはよく知りもしない体を自明のものと捉え、考えることをサボり過ぎていた? 「基的に体って無意識化されていますよね。何かをべる時も意識で動

    【著者に訊け】伊藤亜紗氏 『記憶する体』
  • 大谷能生×吉田雅史が語る、近年の音楽書の傾向とその可能性 「ファクト重視で念入りに検証した批評が増えている」

    藤井丈司『YMOのONGAKU』(アルテスパブリッシング) YMOのアシスタントを務めた音楽プロデューサーの著者が、当時のレコーディングに参加したエンジニア等を招いて、制作現場の秘話からYMOの6枚の名盤に迫る一冊。実際に使用されたトラックシートや譜面から見えてくるのは、緻密な構成と現場での様々なハプニングとマジックの数々。そしてYMOの音楽に迫ることは、シンセやドラムマシン、サンプラーとはなにかに迫ることでもある。 『ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法』 冨田恵一『ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法』(DU BOOKS) ドナルド・フェイゲンの『ナイトフライ』の歌詞面には触れず、その音楽面や制作面だけを語りつくす一冊。だが一枚のアルバムを語ることで見えてくる景色は、あまりに広大だ。自身が音楽家としての探求を積み重ねてきたからこそ、楽曲のサウンドや楽器パートの分析、レコーディングプロセ

    大谷能生×吉田雅史が語る、近年の音楽書の傾向とその可能性 「ファクト重視で念入りに検証した批評が増えている」
  • KIRINJI堀込と千ヶ崎が探る、現代に響く音とは? | Qetic

    ジャンルとしての「トレンド」とはまた違った意味での、今の世界的な音楽的な流れを上手く取り入れ、自身なりに昇華させた感のあるKIRINJIのニューアルバム『cherish』。前作アルバム『愛をあるだけ、すべて』での打ち込みやDAWと生演奏との融合で得た、「KIRINJIとしての新しい要素」が更に推し進められ、発展した結果、より「面白いこと」「楽しいこと」「新しいこと」へと結びついているのも興味深い。 KIRINJI『cherish』アルバム・ダイジェスト映像 前作で感じた、生と打ち込みの同居への積極的な取り組みが生んだ、新たな可能性を更に推し進めた今作は、ニュアンスや強弱といった生の演奏でしか伝えられないこと、逆に生の演奏ではテクニック的に難しいことといった前作で得たノウハウに加え、逆に手癖や人間ならではの自然と生じてしまうズレ、また、それがキチンとした定期さを持つ打ち込みと合わさることで生

    KIRINJI堀込と千ヶ崎が探る、現代に響く音とは? | Qetic
  • 【インタビュー】KIRINJI「工夫次第で今の音楽になる」低音なきサウンドは過去のものとなるか【音楽】

    KIRINJIが11月20日、ニューアルバム『cherish』をリリース。彼らの現在がパッケージされた9曲を収録。YonYonや鎮座DOPENESSといった客演からも彼らの音楽に対する視野の広さとセンスを感じさせる。そして特筆すべきは前作『愛をあるだけ、すべて』から引き継がれているサウンド面での変化。彼らが目指す「今の音」とは、そして音楽にとって「今のもの、昔のもの」の境目はどこにあるのか。KIRINJIの堀込高樹と千ヶ崎学に話を聞いた。【取材=小池直也/撮影=村上順一】 『愛をあるだけ、すべて』の延長線上にあるサウンドにしようと思った ――アルバム完成おめでとうございます。制作はいつ頃からされていたのですか? 堀込高樹 アルバムの曲を書きはじめたのは去年の年末くらいです。春先にシングルを出す、という話があったので、それ用にいくつか書き溜めていました。これなら出してもいいかな、と思えたもの

    【インタビュー】KIRINJI「工夫次第で今の音楽になる」低音なきサウンドは過去のものとなるか【音楽】
  • KIRINJIが語る、新しい音楽への好奇心と「断絶の時代」に紡ぐ言葉 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)

    KIRINJIによる通算14枚目のアルバム『cherish』が11月20日にリリースされる。 作は、前々作『ネオ』から続いている「エレクトロとオーガニックの融合」という、ここ最近のKIRINJIの路線の延長線上にあるもの。YonYonや鎮座DOPENESSという2人のラッパーをフィーチャーしつつ、エレクトロやヒップホップの要素を絶妙なバランスでブレンドしながら、相変わらず洗練されたKIRINJI流のポップ・ミュージックを作り上げている。とりわけ印象的なのは低域の処理の仕方で、これまで以上にファットなキックやベースがサウンドスケープに新たな奥行きと広がりを与えている。 そうしたサウンドの変化・進化に伴い、堀込高樹の書く歌詞世界も確実に変化を遂げている。初期の人をったようなシニカルかつ難解な言葉遊びは影を潜め、世知辛い現代社会に対するメッセージ・ソングや、「老い」に対して正面から向き合った

    KIRINJIが語る、新しい音楽への好奇心と「断絶の時代」に紡ぐ言葉 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)