「あれ、どこかで見たな」と思った人は、熱烈な阪神ファンに違いない。 今年8月まで、阪神甲子園球場の一塁側アルプス席で、生ビールを売っていた。アサヒビールで計約150人の売り子がいるとされるが、今年5月から3カ月連続で、一塁アルプスの月間売り上げ1位になった。1試合の自己ベストは318杯。順位を記したプレートを肩につけることが許される「勲章売り子」だ。 「感謝の気持ちが伝わってるのかな。売り上げは後からついてくればいいんです」とはにかむが、秘密はある。 2年前、アルバイトしていた神戸市内のラーメン店で同僚の子から誘われ、昨年9月、甲子園に飛び込んだ。満タンで約15キロあるビールサーバーを背負い、63段のスタンドを上り下りする。翌朝は筋肉痛で階段が降りられなかった。でも、お祭りみたいな熱気が忘れられなかった。 翌年4月、売り上げ4位になった。肩に「勲章」をつけられるのは3位まで。「もう