防衛施設庁発注工事を巡る官製談合事件で、公正取引委員会が鹿島や大成建設などのゼネコンに立ち入り検査を実施した5月16日。ある大手ゼネコンの幹部はつぶやいた。 「そこまでやるか、って感じだな」 大手ゼネコンは公共工事の受注担当者を異動させるなど、談合との決別宣言を打ち出している。それに、これは東京地検特捜部が既に摘発している案件だ。にもかかわらず、あえて立ち入り検査に踏み切ったことに、この幹部は公取委の本気を見て取った。 鋼鉄製水門工事やトンネル用換気設備工事、汚泥再生処理施設工事、そして防衛施設庁発注工事――。 3月以降、ゼネコンや橋梁メーカーなど公共工事に関わる建設関連企業に、公取委は相次いで立ち入り検査や強制調査に踏み切っている。改正独占禁止法の施行で権限が増した公取委。談合撲滅に向けて追及の手を伸ばす。 そんな公取委の執念は「安値受注」という形で表面化し始めた。 4月半ばに開かれた日