次男が食卓についた。 わたしはかがみこんで用事をしながら「シリアル食べる?」と問いかける。 でも返事が聞こえない。私は、あれ?と思って顔を上げて、次男を見る。 彼はにこにこしている。 もう一度「シリアル食べる?」と次男に聞いてみると、 彼は無言でうなづく。 きっとさっきも(私は見ていなかったけれど)うなづいて返事をしていたのだろう。 こういうことはよくある。 うなづいても見えるはずないのに、うなづいて返事をする。 またうなづくにしても、頭の動きはほんの少し。 次男も、長男も、それから奥さんも、そのような(ある意味)わかりにくい返事をすることがある。 もう少し若かったころ、私はこう考えていた。 「どうしてそんなにわかりにくい返事をするのだろう。 返事は『はい/いいえ』の二択であり、つまり1ビット。 せいぜい『はい/いいえ/ちょっとまって』の三択なのに…。 はっきり返事をすればいいじゃないか。