笑いには、大きく分けて2つの種類がある。動きで見せる「視覚的な笑い」と、しゃべりで聞かせる「聴覚的な笑い」だ。近年のテレビバラエティ界では、「聴覚的な笑い」の方が価値の高いものとされてきた。ビートたけし、島田紳助、松本人志といったお笑い史を彩る巨人たちはいずれも、1人でしゃべって自己完結的に笑いを取ることのできる話芸の達人だった。 「聴覚的な笑い」がテレビで求められてきた理由は、そちらの方が元手がかからないからだ。明石家さんまや島田紳助を司会に配置すれば、それだけでそこそこ盛り上がる番組を作ることができる。動きの笑いを見せるコント番組を作るには、舞台装置、脚本、役者などを用意するための金と手間が余計にかかる。制作費削減が求められる昨今のテレビ界で、しゃべり芸がもてはやされてきたのは当然のことだろう。 また、松本人志が著書の中で「発想力重視の笑いこそがいちばん高度な笑いである」という主張を大