ぼくが読んだことのあるよしもとばななの小説を数え上げたら10冊程度になった。好きな作家、と言っていいと思う。でも、最後に読んだ小説は2000年頃発表されたものだ。その頃の何冊かの本が、なんだかどれも同じような展開で同じような場所に落ち着く話ばかりに思えて、これならもう読む必要ないな、と思って止めたんだった。小説はそれ以来読んでいない。 エッセイも、初期の何冊かを読んだ。こちらはどれも面白い物ばかりだった。彼女はとにかく、人の良い部分を褒めるのがうまい。ミュージシャンやアーティストやその他有名人、有名でない人を、こんな褒め方があるのか!ってくらいのあらゆるバリエーションで褒めまくる。すぐ影響されてCDを買ったり作品を見に行ったりしていた。 そういう彼女の「いいときの」エッセイを知っている(いや、最近のは読んでないから知らないだけですが)自分には、件の居酒屋話の「もしも店長がもうちょっと頭がよ