日本でもおなじみの有刺鉄線は、主に金属でできた頑丈な鉄線に、斜めに削いで尖らせた短い鉄線を組み合わせが茨のトゲのようなもので、人間や動物などが入ってこられないよう、立ち入り禁止区域や守るべき敷地内に設置されるものだ。 中には電気を鉄線に通す事によって生き物が触れると感電するものもある。 さてこの静的な兵器的役割を果たす有刺鉄線についての歴史を見ていくことにしよう。 ほとんど未開の地だったアメリカ西部 1800年代中頃、ミシシッピ以西へ足を踏み入れた(ノンネイティブ)アメリカ人はごく少数だった。 都市計画家のフレデリック・ロー・オルムステッド(1822年-1903年)が初めて西部を訪れたとき、「嵐の後で膨れ上がったかのような草原の海が広がっている。」と表現するほど、バッファローの大群がうろつき、無人の大地をカウボーイ(牛飼い:畜産業に従事する牧場労働者)が牛を追って走る、まさに手付かずの地で