米中対立を背景としたサプライチェーン(供給網)の再編が、日本の位置付けを変えつつある。欧米企業が中国で供給網を見直し、「日本の安全保障上の価値が20〜30年前に比べて格段に高まった」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミスト)。半導体を中心に日本企業の国内回帰や海外企業の対日投資が広がる。日本で生産し輸出して稼ぐ「貿易立国」に返り咲く好機ととらえる声もある。宮崎県国富町のローム工場で今夏
中国のパンデミック後の雇用情勢について既に一度ふんわりとは触れたが、ちょうど定量的に試算する論文がSNSで出回ったので取り上げてみたいと思う。著者は「王明遠」氏であり、北京改革発展研究会の研究員である。つまりアカデミックな人間であり、この論文には政治的な意図はない。前回のパンデミック直後には中泰証券のレポートを引用しており、あの時は7,000万人の失業者がいると結論付けていたが、あれからリオープンを経て何か変わったのだろうか。緑色は引用である。 歴史的に穴だらけの失業統計 歴史的に「政府工作報告」ではオフィシャル失業率に都市部登記失業率を用いていたが、2018年以降はこれを調査失業率に置き換えた。登記失業率があまりにも使えないので調査失業率へのシフトは大きな進歩であったが、調査失業率にも欠点がある。例えば2023年4月の全国都市部調査失業率は5.1%でしかなく、パンデミック前の2019年と
2%の物価目標の達成は簡単でない 6月15・16日に開かれた金融政策決定会合で、日本銀行は大方の予想通りに金融政策の据え置きを決めた。 4月に公表した展望レポートで日本銀行は、コアコアCPIが2023年度の+2.5%から2024年度に+1.7%と低下した後、2025年度には+1.8%とわずかに高まるとの予測を示していた。2025年度には物価目標の+2%に再び接近するものの、それに達することはない、との見通しである。 この展望レポートの予測は、「2%の物価目標が達成できるかどうかについて、日本銀行は十分に自信を持てないことを表現している」と、総裁は記者会見で説明した。昨年来の物価高騰が、賃金上昇率を上振れにつながったところまでは確認できたが、それが賃金と物価の持続的な好循環につながるかどうかはまだ見通せないのである。 植田総裁は従来から、「2%の物価目標の達成は簡単でない」との見方を繰り返し
The Marriner S. Eccles Federal Reserve building in Washington, DC, US, on Saturday, June 3, 2023 Photographer: Nathan Howard/Bloomberg 米欧の金融当局は相次いで今後の政策決定会合での利上げの可能性を示唆したが、経済的損失が拡大するのではないかとの投資家の懸念が影を投げかけている。 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は14日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合終了後の記者会見で、インフレを鈍化させるためには2023年中に「幾分か」の追加利上げが適切になると説明。同時に公表された最新のドット・プロット(金利予測分布図)では年内に合計0.5ポイントの利上げが示唆された。一方、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は15日、7月の追加利上げの「公算が極めて大
「日銀」という言葉がニュースにでる日が増えています。 いくつか理由があります。 円安の一因は日銀の金融緩和 金融緩和の柱であるYCCの修正観測 総裁人事の本格化 黒田総裁就任からまもなく10年。そして、この年末年始には次期総裁の人選が大詰めを迎えます(就任は来年春)。 日銀について断片的な知識はあっても、この10年間の全体像や、今後の焦点までは理解が追いつかないという方も多いかと思います。 誰でもわかるように、それでいて本質をコンパクトにまとめる「黒田日銀」連載を年末~年明けにかけ何回かにわけて、お届けします。 まずは金融政策運営のどまんなかにある「2%物価目標」です。「なんのための物価安定?」「なぜ2%?」といったそもそも論からはじめて、この10年を振り返ってみます。初回はサンプル的に全文無料にします ◆ 日銀法まず法律から。金融政策の理念は日銀法第2条にあります。 上記が日銀が金融政策
足元の物価上昇の理由とは? 今後の金融政策にどういった影響を与えるだろうか(Photo/Getty Images) 2021年、10月29日に発表された日銀の展望レポートでは、2022年度のコア消費者物価(除く生鮮食品)の見通しはプラス0.9%とされ、2%の物価目標達成に程遠いことが示された。もっとも、2022年4月以降の消費者物価上昇率は加速が見込まれ、物価目標2%の達成もあながち「トンデモ予想」ではなくなってきている。物価上昇の理由は(1)円安と資源価格上昇に伴う輸入物価の上昇、(2)携帯電話通話料の下押し効果剥落という、2つの要因が大きい。これらは今後の金融政策にどのような影響を与えるだろうか。 【詳細な図や写真】足元の物価上昇は「円安」「資源価格」「携帯料金引き下げ」が関係しているようだが…(Photo/Getty Images) ●物価を押し上げる「2つの要因」 足元の物価上昇の
---------- 経済学は、なぜ人間の生から乖離し、人間の幸福にはまったく役立たなくなってしまったのか? 経済学・経済思想の堕落の歴史をたどると同時にその再生の可能性を探る、中山智香子さんによる現代新書の最新刊『経済学の堕落を撃つ 「自由」vs「正義」の経済思想史』から、「はじめに」を特別公開します! ---------- 【写真】日本人妻が思わず逃げ帰った…「今のアメリカ」の凄まじい生きづらさ 21世紀が始まって、すでに20年が経過した。変化のスピードは加速し、技術の進歩は著しい。しかし人がひとりひとり、生きていくこと、食べていくことは、どんな時代にも変わることなく重要である。人間は身体を備えた生き物で、長さはさまざまとはいえ、そのいのちには限りがある。 経済とは、人間が限りあるいのちをまっとうできるように、生きていくこと、食べていくことを支える活動であり、仕組みである。 かつて19
安倍政権の「賃上げの仕掛け」はなぜ機能しないのか【コメントライナー】 2020年01月05日09時00分 2014年12月16日、経済の好循環実現に向けた政労使会議に臨む安倍晋三首相(左から2人目)。右から2人目は古賀伸明連合会長(当時)、同3人目は榊原定征経団連会長(同)=東京・首相官邸 ◆時事通信社解説委員・軽部 謙介◆ 【点描・永田町】季節外れの「桜」はいつ散るのか 厚生労働省がまとめている毎月勤労統計調査(速報値)によると、2019年9月の実質賃金が前年同月比0.6%増となった。プラスは9カ月ぶりで、同省は「賃上げの広がりで、パートを除く一般労働者の基本給などが増加したため」などと説明しているそうだ。 ◇慌てて立ち上げ 実質賃金が上昇するのはご同慶の至りだが、この問題をめぐっては、安倍晋三政権の迷走ぶりが目につく。 12年末に政権を奪還した首相は、自身の経済政策「アベノミクス」の核
2012年の安倍政権の登場は、トランプ政権成立に先駆けた、日本における右派ポピュリズムの始まりだったと、経済学者・松尾匡氏は主張します。今回は、安倍政権の成立から維新の会、れいわ新選組の登場に至るまで、日本における左右ポピュリズム勢力の動向を振り返ってみましょう。 第1回:私利私欲を度外視した公共的理性が、唯一無二の生命を犠牲にする 第2回:新自由主義による悲惨な現実を解決できるのは、左派ポピュリズムです 痛みしかなかった さて日本でも他の先進国同様、冷戦後、社会の新自由主義的な作り変えがエリートのコンセンサスになりました。 「高度経済成長向きの戦後体制が行き詰まって生産性が上がらなくなって、既得権者たちに食い物にされている。国の借金が持続不可能」等々と言って、規制緩和や民営化や、「スリム化」「無駄の削減」と称した行財政改革が、自民でも非自民でもどの系統の政権下でも変わらず、大なり小なり推
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く