利用者の生活実態に全く目を向けようとしていない。原告たちが「不当」と憤るのは当然だ。 名古屋地裁で25日に言い渡された生活保護訴訟の判決である。国が2013〜15年に実施した生活保護の基準額引き下げは生存権を侵害し違憲だとして、利用者18人が居住自治体と国に引き下げ処分の取り消しなどを求めていた。 裁判では、引き下げの手続きや判断が厚生労働相の裁量権を越えているかどうかが争点になった。地裁は乱用や逸脱は認められないとして請求を棄却した。 問題になったのは、食費や光熱費に充てる「生活扶助」だ。国は年間約670億円の削減を打ち出し、世帯ごとの削減幅は平均6・5%、最大10%に及んだ。 引き下げに当たって、厚労省は専門家による部会での議論がないまま、物価の下落率を独自の方法で算出し基準額に反映させている。原告はこの点を問題視した。 地裁は「専門家の検討を経ることを義務づける法令上の根拠は見当たら
![社説 生活保護訴訟 実態に目を向けていない | 信濃毎日新聞[信毎web]](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/18f15c3e683eeb5e85e7f1c42cca1b5fe81b6f76/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.shinmai.co.jp%2Fimages%2Fsns%2Fogp_logo_s.jpg)